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糖尿病の症例4

糖尿病の症例4

71歳男性で急性心筋梗塞で運ばれた方です。胸部不快感を自覚され救急車を依頼、当時私が循環器内科(心臓・高血圧症などを専門とする科)の救急担当医となっておりましたので、心電図や心エコー、採血などの検査を行いました。その結果、急性心筋梗塞と診断し緊急で心臓カテーテル検査を行いました。
ちなみに急性心筋梗塞は来院してからカテーテル治療(風船の治療など)を行うまでの時間が90分以内であることが一つの目標とされています。
この理由は心臓の筋肉を守るためであり、早く治療が行えた分だけ心臓の筋肉のダメージが少なくて済むわけですから循環器内科医は夜中でも病院に集合し患者さんを守るためにカテーテル治療を行います。
この方が来院されたのはちょうど午前11時半ごろであったので、寝てはいなかったのですが急いで心臓カテーテル検査を行いました。
所見としては#6がつまっていました。#6は左前下行枝という心臓の血管で、とてもとても大切で、おおよそ心臓の1/2を養っています。これが#5になると心臓の約3/4が栄養されます。1違っただけで全然違いますし、ここがつまるととてもとても重篤な状態になることがあります。この方は#6であったので、#5が詰まるよりも良かったのですが#6といっても、とてもとても多くの心筋を栄養し、とてもとても大切な血管です。
なんとか風船の治療を行い、ステントというアミアミの筒を詰まっていた場所に置きカテーテル治療は終了しました。しかし来院された時の採血のデータを確認すると血糖値は400mg/dl程度まで上昇しているしHbA1cは12.6%であるしで血糖コントロール不良な状態でした。近くの総合病院で糖尿病の治療を受けられていたとのことで、持効型インスリン(じわっと長い時間効くインスリン)が処方されておりました。

今回は急性心筋梗塞で入院になっています。その場合は実はインスリンは使わない方がいいのですが、そうも言っておられず、低血糖を起こさないようにインスリンの調整(点滴を使いながら静脈内にインスリンを投与したり、食事量や血糖値に応じた超速効型インスリンを使用)を行いました。
心臓の状態も合併症もなく落ち着き(心不全が起きたり不整脈が起きたり、心臓が破れたりと急性期はいろいろなことが起きることがあります)、また血糖値も落ち着き退院となりました。現在も心臓について、また糖尿病について管理するため(直近のデータで血糖値122㎎/dl、HbA1c7.1%でした)、次の心筋梗塞が起きないよういろいろな管理目標があるんですが(血圧や悪玉コレステロールなど)、それを達成するために私の外来に通院してもらっています。

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