いまふじ内科クリニック兵庫県明石市硯町  スーパーマルハチ硯町店2F
内科・糖尿病内科・循環器内科・心臓リハビリテーション・皮膚科

来院予約は 078-925-7150

糖尿病内科

DIABETES MELLITUS

こんな悩みありませんか

  • 検診でひっかかった
  • 糖尿病の疑いがあるといわれた
  • 治療を中断しているが再開を検討している
  • かかりつけ医を探している
  • 現在の糖尿病の治療が合わない気がする
  • 自分が糖尿病かどうか知りたい

コンセプト

糖尿病は、患者さんごとに、ライフスタイルや病歴が異なります。
当院は、患者さんと相談しながら患者さんに応じて治療の選択や組み合わせを考え、よりよい血糖コントロールを目指します。


院長は近大病院で専門的に糖尿病を学び、明石市では初めてインスリンポンプ療法(CSII、SAP)を導入、1型糖尿病やインスリン依存状態の糖尿病の方に専門性の高い治療を提供してきました。
明石市立市民病院でも血糖コントロールが難しい糖尿病の方に対して、数多くの治療実績があります。『入院しないと無理』と言われて紹介された患者さんでも、外来のまま良好な血糖コントロールを達成できる場合も多々あります。

また院長は循環器疾患に対しても専門的に応してまいりました。糖尿病での通院だったとしても『胸が痛い』、『動悸がする』などを訴えられることがあります。そのようなことで困っていられるなら、どんどん相談してください。その場ですぐに対応します。

院長は日本糖尿病学会認定の糖尿病専門医で、2型糖尿病はもちろんですが、1型糖尿病・膵性糖尿病・インスリン依存状態の方に対するポンプ療法を数多く導入してまいりました。入院での導入はもちろんのこと外来導入も数多く行っております。インスリンポンプは糖尿病患者さんの予後を改善するだけでなく生活の質も向上すると言われておりますので「私はどうかな??」「使ってみたいけど、どんな感じ??」など少しでも興味のある方はぜひ相談してください。また血糖値を持続的にモニターできる機械、例えばリアルタイムCGM:常に血糖値を表示:ガーディアンコネクト、Dexcom6Gなど、FGM:リブレ:リーダーをかざした時にだけ血糖値がわかるもの、プロフェッショナルCGM:リブレpro:医療機関で解析など)も取り扱っております。糖尿病の方がよりよく生活できるようにサポートいたしますので、ご希望の方は相談してください。
※インスリンポンプについて当院ではメドトロニック製とテルモ製を取り扱っております。

糖尿病とは

糖尿病とは慢性的に血糖値(血管の中にある糖の濃度)が高くなった状態をいいます。
それなので血管がダメージを受け色々な病気を引き起こします。
例えば腎臓(尿を作るところ)、眼(ものを見るところ)、神経(動かしたり感じたりするところ)などをダメにするだけでなく、脳梗塞(脳の血管がつまる病気)、心筋梗塞(心臓の血管がつまる病気)などの一旦おこると命に係わる病気の原因にもなりえます。
そのため、とても怖い病気に思えるかもしれませんが逆に考えると糖尿病をしっかりコントロールすることで、これらを起こりにくくすることができるということです。

当院は病気のことで患者さんの生活が制限されないように、
治療内容などは患者さん本人と相談しながら決めていきます。

また糖尿病は高血圧症、脂質異常症を合併しやすい病気で、
脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こしやすくします。

院長は循環器内科領域である高血圧、脂質異常症についても
数多く診療しておりますので、ぜひ相談してください。
患者さんの健康寿命を延ばすことが院長含めたスタッフ一同の目標です。

糖尿病の症状

  • のどが渇く
  • 夜に何度もおしっこに行く
  • 最近体重がやせてきた
  • 労感がある
  • 皮膚が乾燥する・かゆい
  • 手足の感覚の低下、痛みがある
  • 感染症によくかかりやすい
  • 目がかすむ
  • 性機能の問題(ED)

糖尿病の種類と原因

2型糖尿病

2型糖尿病は、10人に9人以上はこのタイプです。若い人でも発症する場合もありますが、40歳を過ぎてから発症する場合がほとんどです。食生活などの環境因子と体質(遺伝)の組み合わせで起こると考えられています。

2型糖尿病は、このような人に起こりやすいと言われています

  • 40歳以上
  • 肥満
  • 運動不足
  • 家族に糖尿病の患者がいる

1型糖尿病

1型糖尿病は急性発症1型糖尿病、劇症1型糖尿病、緩徐進行1型糖尿の3つに分類されます。
前2つの疾患は短い経過で発症しひどい場合には意識もなくなってしまうこともあれば、「のどが渇いた」「夜間寝られないくらいおしっこにいく」などの症状が出やすく、基本的には入院での治療が必要です。
緩徐進行1型糖尿病は2型糖尿病のような振る舞いをしながら長年かけてゆっくりとインスリンが出なくなっていく病気です。検査をしないと分からないことも多く、2型糖尿病として治療されていることも多々あります。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは妊娠中に発見される耐糖能異常(血糖値が高くなること)です。
妊娠中はおなかの中の赤ちゃんに栄養を上げないといけないので血糖値があがりやすくなります。そのため一旦、妊娠・出産が終了すると血糖値もよくなり、耐糖能異常はなくなることもあります。しかしこのような方は糖尿病の発症もしやすなりますので定期的な血糖値の確認が必要になります。

その他(糖尿病を発症する原因)

治療に使用した薬剤
ホルモンの異常による内分泌疾患
膵疾患、肝疾患
遺伝子異常など

糖尿病の検査(診断)

慢性(ずっと)の高血糖状態(血管の中の糖の値が高いこと)を証明し糖尿病の診断となります。

早朝空腹時血糖検査

10-14時間以上の空腹の時間をあけて朝の9時頃に採血を行います。

随時血糖検査

自由な時に採血した血糖値です。通常は200mg/dlを超えません。

75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)

75gOGTTは75gの糖が入った甘い飲みものを飲んで血糖値を確認します。白ご飯にするとお茶碗1杯半200gくらいの糖になりますが、これを短時間で摂取します。糖尿病でない方は多い量の糖が入ってきても、うまい具合に処理できるため、少なくとも血糖値200mg/dl以上にはなりません。
しかし糖尿病の方はそれができず血糖値が上がってしまいます。これを確認することで糖尿病を診断していきます。

糖尿病の治療

糖尿病治療において食事・運動療法、薬物療法が3本柱になります。いずれも大切な治療になりますが、メインで行うのは患者さん本人なのです。とはいえ、食事を極端までに一生懸命我慢することは長続きはしませんし、逆に高蛋白質食ばかり食べると心血管イベントが増加するなどの悪影響も言われています。
持続可能な食事療法を長期的な視野に立ち患者さんのサポートをすることが必要になります。そのため薬剤の選択については食事療法をサポートする薬剤もたくさん使われます。「ダメとは分かっていても食べ過ぎて、へこんでしまう」「全然我慢できない」などにも、サポートし食事療法を続けやすくするような薬剤を選択していきます。

食事療法

サルコペニアやフレイル、obesity paradoxなどを背景にして、最近は食事療法の考え方が大きく変わっています。当院では日本糖尿病学会が推奨しているもので患者さんにお話ししています。

食事療法においては規則正しい生活を送りながらきちんとバランスがとれた食事をこころがけることなど言われています。しかし仕事が遅くなったり、食事のリズム・内容を家族に合わせないといけなかったりと、これができないのが実際です。

当院では正しい食事療法の考え方は当然ながらお伝えいたしますが、実生活にそえるようサポートしていきます。病気のことで患者さんが制限されないように、患者さんがいきいきと生活できるようにサポートすることが当院の基本理念であります。

〇栄養士による栄養相談

当院では糖尿病や脂質異常症、高血圧などの改善に食生活の見直しが必要だと判断した場合は、栄養士による個別の栄養相談を行っております。普段の食生活や家族背景などをお伺いし、患者様が継続して取り組める食事療法を一緒に考えていきます。食事から糖尿病と向き合い、毎日をより健康に過ごせるように今から取り組みましょう。

運動療法

運動療法もとても大切な治療の柱です。有酸素運動、レジスタンス運動、ストレッチ運動、バランス運動などが推奨されておりますが、ただし運動のためだけに時間を確保することは意外と難しくある期間はうまくいったとしても、持続可能なところまではなかなか難しいこともよく経験されます。

当院では運動療法の基本はお伝えしますが、運動に対する考え方自体を変えたり、普段の生活に組み込んだエネルギー消費の方法(ニート:NEAT:Non-Exercise Activities Thermogenesis)をお伝えしたりとずっと続けられる運動療法をサポートしていきます。
実はこのニートという考え方、とてもすごいんです。例えばパソコンを打つときは立ちながらするなど、座る時間を短くすることで1日あたり160分程度たつ時間が長くなったとしましょう。これはご飯にして2杯分のカロリーが消費されることになり、1週間続けるとフルマラソンを走ったカロリーに相当します。毎日できる範囲で立つようにするだけでフルマラソンを走ったことになる、少しずつコツコツすることがとても大きなものになるのです。

〇運動療法で期待される効果

  • インスリンの効きが良くなる
  • 肥満の抑制・減量効果
  • 血糖値が下がる
  • 高血圧や脂質異常症(高脂血症)の改善
  • 筋肉・筋力の維持
  • 気分がスッキリする など

一生懸命運動することはとてもいいことなのですが、注意しておかないところもたくさんあります。
例えば糖尿病網膜症が少し不安定な状態では網膜症が進行することがあります。「どのような内容なら大丈夫だがここまでしてしまうとダメ」「今の血糖値ならこの運動はいいが、それ以上の血糖値なら運動をすることで逆に血糖値が上がってしまう」など伝えておかなといけないことはたくさんありますので院長に相談してください。

薬物療法

最近はとても多くの薬剤が出てきています。その中でヨーロッパやアメリカでは「この患者さんは心臓に病気があるので、これを使いましょう」など、個人がもつ病気に応じて処方するお薬のガイドライン(決まりみたいなもの)があります。一方で日本では、はっきりとした薬剤選択のガイドラインはないのが現状です。

当院では糖尿病治療を専門としており世界基準にのっとった上で日本人の特性に合わせた薬剤選択を行っております。

〇こんな方はインスリン注射が必要です

  • インスリン分泌が低下した方
  • 腎臓や肝臓に機能障害がある方
  • 急性膵炎・慢性膵炎・膵臓を手術された方
  • 薬を飲んでも血糖値が改善しない方
  • 手術後など大きな怪我をしている方
  • 妊娠中や妊娠を希望している方
  • 1型糖尿病の方

インスリンは血糖値を良くして合併症の予防にいい影響を与えますが、使い方を間違えると体重が増え肥満の原因になったり、重症な低血糖を引き起こし場合によっては意識がなくなり誰かの助けがないと低血糖から回復できない状態になりえます(重症低血糖といいます)。
また低血糖は脳・心などへの悪影響を引き起こし、認知機能が低下したり(場合によっては認知症も引き起こす)、心臓の不整脈や心筋梗塞などにつながることも報告されています。

インスリンを使う目的はあくまで患者さんにいい影響を与えるためです。糖尿病が悪くなっているときというのは体の中ではインスリンが足りない状態です。そこにインスリンを外から打ってあげると、体(特に膵臓)はホッとして、休むことができます。この休めている状態が実は大切で、インスリンを頑張って作り続けないといけないのが毎日、365日、何年も続くと、徐々に膵臓は疲れ切りインスリンを出せなくなります。
またインスリンを補充させることで体(特に膵臓)を休めてあげたなら、内服のお薬の効きもよくなることがよくよく経験されます。インスリン治療が必要と言われたとがっかりしないでください。病型にはよりますが、一時的な使用になることもよくありますのでまずは相談してもらえたらと思います。

当院では希望があり、適応があった場合はインスリンポンプ療法を導入しています。
院長は近畿大学病院や明石市民病院で1型糖尿病(インスリンがでない糖尿病)・膵性糖尿病(膵全摘出・膵部分切除の術後や膵石灰化のある方の糖尿病)の患者さんにインスリンポンプ療法を入院・外来問わず数多く導入してきました。外来導入ではポンプの使用方法からカーボカウント、さらに希望されればSAP療法まで複数回にわたり指導いたします。2022年1月20日からメドトロニック770Gが日本でも使用できるようになりました。ひとつ前の機種であった670GはSAP療法下でですが低血糖になりそうであれば基礎インスリンを自動的に中止する機能がついていました(SAP療法:血糖値が常にわかるようにしながらインスリンポンプを使用する療法)。今回使用できるようになった770GはSAP療法中、高血糖になれば自動的にインスリンを注入する機能も追加になりました。ほぼ人工膵臓のような素晴らしい機能だと思います。
ご希望があれば当院で外来導入致しますのでお問合せください。

糖尿病の症例

近くのクリニックで治療されていた1型糖尿病の60歳代男性が、自宅でインスリンの使用後に意識がなくなり救急車で搬送、血糖値が21㎎/dlになるまで低下(ふつうは100くらいなのでとても低く、このくらいなら意識を失う値です)、入院となったので今藤が入院主治医として対応いたしました。

入院してから、本人様にご協力いただいて、専門的なインスリン調整、例えば絶食試験を行ったり、糖質インスリン比やインスリン効果値を決定したりなどなどを行いました。
本人様は理解力もよくしっかりとした方であったのでインスリンポンプ療法をお話ししたところ大変興味を持たれ、「是非やってみたい」と言われたのでさっそく導入することにしました。
実際のグラフを見てもらえたら分かるように、day X+12の夕方からインスリンポンプ療法を導入、食事摂取は続けておりましたが、みるみる間に血糖値がよくなりました。

糖尿病患者症例1

入院中という特別な環境(糖質量もわかるし活動量も寝る時間もほぼ変わらない環境)ではおおむねこのような安定した血糖変動になります。しかし退院すると実生活が始まります。寝る時間が変わったり糖質量が分からなかったり、活動度が変化したりなど、血糖変動不安定になる場合も往々にしてみられます。

ただ、ひとつ言えることとしては1型糖尿病の方でも、インスリンが出ない方でも、このような血糖値を実現できるということです。入院中の成功体験で本人様は「どのようなことをすればこんなことになるのか?」など糖尿病治療に積極的になることができました。退院後もインスリンポンプ療法は続けながらカーボカウントを導入されております。

糖尿病を専門としていないかかりつけ医の先生から糖尿病が悪いからみてほしいとご紹介いただいた方です。認知症のない73歳男性で数年前に採血で発見された2型糖尿病の方でした。かかりつけ医の先生からは「糖尿病が悪いから入院して来なさい」と言われて今藤の外来にやってこられました。

初診時の採血データは血糖値351mg/dl、HbA1c12.7%であり、一日に5Lくらいの水・お茶を飲んでいる、夜はおしっこのために1時間おきに起きて寝られないとのことでした。
今藤の外来でも「かかりつけ医の先生が言われるように入院適応です。入院して体を整えましょう」とお伝えしましたが、本人様が外来での治療を強く希望されたため、入院はせず外来のまま治療することになりました。

かかりつけ医の先生もいろいろと難渋されたようで糖尿病のお薬は3剤併用されておりました。今藤の外来ではまず糖毒性(糖尿病が悪すぎて悪い循環になっている状態)の解除を行うお薬を導入、1週間に1回の皮下注射するお薬を用いtotal2剤へ変更しました。すると1-2週間程度でのどの渇きや夜間の頻尿も改善、夜もぐっすり寝られるようになりました。
血糖値が改善した理由で一番大きいのが本人様の糖尿病に対する努力/行動です。間食をさけバランスのとれた食事を摂取するようにされたことと、血糖値がある程度落ち着いてからですが、運動療法も行いました。
薬剤の調整ですが糖毒性の解除を行いながらさらにインスリン抵抗に対する薬剤(インスリン抵抗性:肥満などの原因によりインスリンの効きが悪くなっていること)を追加、その後も薬の調整行っていきましたが本人様はのどの渇きと夜間の頻尿が止まったことに満足されておりました。

今回の方は入院の適応はありましたが、最近の糖尿病治療はいいお薬もたくさんできていますので外来でも対応できる場合が増えてきています。
ただすべての症例で入院は不要であるということはなく糖尿病教育入院での治療はその後の予後にいい影響を与えることも言われており、可能であれば入院してもらい糖毒性を解除し、また糖尿病についての知識を深め食事運動療法を体験してもらうことが大切であると思います(その他、糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧状態など緊急入院が必須な場合もあります。このような場合は外来での治療は不可能で、緊急入院が必要なのか、また外来で治療ができるのかなど担当医が判断しないといけません)。

今回の患者さんはご自身でも食事療法や運動療法をがんばってもらい、血糖値106mg/dl、HbA1c6.5%程度で経過し現在も良好な糖尿病コントロールを達成できています。

近くのクリニックから血糖コントロールが悪いと紹介された87歳女性の方です。この方は何十年も前に糖尿病と診断されており、診断されて1年後に内服薬が開始となりました。
今までにインスリンの使用歴もなく一時的に治療中断歴もありましたが現在は内服薬で治療中でありました。

私の外来を受診され検査してみると血糖値367mg/dl、HbA1c14.2%で、またご自身からのインスリン分泌はある程度保たれておりました。
この方の血糖コントロールが悪くなる大きな問題点として認知機能の低下(後に認知症と診断されました)があげられ、周囲の方の協力が糖尿病治療には必要でありました。しかし近くに住む娘様もお仕事が忙しく、朝もしくは寝る前にはお薬を飲んだかの確認はできるものの、毎日は難しいというような環境でありました。
娘様の生活もありますので皆が幸せになるような治療を考えインスリン分泌が保たれていたことが幸運でありましたが1週間に1回の製剤を使用することにしました。
この頻度であれば娘様も休みの日に、本人様に皮下注射をすることができるとのでした。ただし1週間に1回の製剤はインスリン分泌能がないと効果が期待しにくく(使い方によっては効果があることもあります)、食事摂取量が落ちることがありフレイル(やせて活動が低下すること、虚弱)やサルコペニア(筋力が低下すること)の原因になる場合があるため注意しながら使用しました。

周囲の環境にも恵まれたため本人様の血糖値は改善していきましたが、おやつなどの間食をめぐって、本人様と娘様がけんかすることが目立つようになってきました。
娘様は良好な血糖コントロールを目指してほしい、本人様は食事や間食なども楽しみながら人生を過ごしたいという思いがあったからだと思います。

良好な血糖コントロールを目指すことが糖尿病の合併症進行を防ぐうえで大切なことは理解されているものと思いますが、この良好な血糖コントロールというところが、最近になって変わってきております。
これは日本糖尿病学会と日本老年医学会が合同で高齢者糖尿病の血糖コントロール目標を出しており、ただ単純に7%未満(合併症を防ぐための目標値として有名)を目指すということではなくなってきております。この目標値が出てきた背景には重症低血糖の予防など色々なものがありますが、これに従うとこの方のHbA1c目標値は8%未満であります。このことを娘様と本人様にお伝えし、本人様のHbA1cは8.2%程度であったため、娘様もご理解され食事療法をめぐっての争いはおこなわずに済みました。

糖尿病の治療の中で最も大切な大前提が「患者様やご家族様が幸せになれるように」ということがあります。
血糖コントロールを良くしたいがために、ご家族が厳しく間食を注意したりし、患者様とご家族様とが不仲になることはあってはならないことだと思っております。
今回の症例も、適切な血糖コントロール目標値を設定し、それに応じて糖尿病治療を実践していけるよう、そして患者様、ご家族様が幸せにすごすことができるようにサポートしていくよう、外来診療にあたっております。

71歳男性で急性心筋梗塞で運ばれた方です。胸部不快感を自覚され救急車を依頼、当時私が循環器内科(心臓・高血圧症などを専門とする科)の救急担当医となっておりましたので、心電図や心エコー、採血などの検査を行いました。その結果、急性心筋梗塞と診断し緊急で心臓カテーテル検査を行いました。
ちなみに急性心筋梗塞は来院してからカテーテル治療(風船の治療など)を行うまでの時間が90分以内であることが一つの目標とされています。
この理由は心臓の筋肉を守るためであり、早く治療が行えた分だけ心臓の筋肉のダメージが少なくて済むわけですから循環器内科医は夜中でも病院に集合し患者さんを守るためにカテーテル治療を行います。
この方が来院されたのはちょうど午前11時半ごろであったので、寝てはいなかったのですが急いで心臓カテーテル検査を行いました。
所見としては#6がつまっていました。#6は左前下行枝という心臓の血管で、とてもとても大切で、おおよそ心臓の1/2を養っています。これが#5になると心臓の約3/4が栄養されます。1違っただけで全然違いますし、ここがつまるととてもとても重篤な状態になることがあります。この方は#6であったので、#5が詰まるよりも良かったのですが#6といっても、とてもとても多くの心筋を栄養し、とてもとても大切な血管です。
なんとか風船の治療を行い、ステントというアミアミの筒を詰まっていた場所に置きカテーテル治療は終了しました。しかし来院された時の採血のデータを確認すると血糖値は400mg/dl程度まで上昇しているしHbA1cは12.6%であるしで血糖コントロール不良な状態でした。近くの総合病院で糖尿病の治療を受けられていたとのことで、持効型インスリン(じわっと長い時間効くインスリン)が処方されておりました。

今回は急性心筋梗塞で入院になっています。その場合は実はインスリンは使わない方がいいのですが、そうも言っておられず、低血糖を起こさないようにインスリンの調整(点滴を使いながら静脈内にインスリンを投与したり、食事量や血糖値に応じた超速効型インスリンを使用)を行いました。
心臓の状態も合併症もなく落ち着き(心不全が起きたり不整脈が起きたり、心臓が破れたりと急性期はいろいろなことが起きることがあります)、また血糖値も落ち着き退院となりました。現在も心臓について、また糖尿病について管理するため(直近のデータで血糖値122㎎/dl、HbA1c7.1%でした)、次の心筋梗塞が起きないよういろいろな管理目標があるんですが(血圧や悪玉コレステロールなど)、それを達成するために私の外来に通院してもらっています。

糖尿病に関するよくあるご質問

Q.どのような検査ができますか?

下記は院内での検査で当日結果をお伝えすることができます。
HbA1c、血糖値、尿検査、炎症反応(CRP)は数分で結果がでます。
その他、コロナウイルス・インフルエンザウイルス抗原検査、胸部レントゲン、エコー検査(心臓・腹部・頸動脈など)、心電図、血管年齢検査(ABI)も行っております。

Q.糖尿病が心配です。症状がなくても診察は受けられますか?

糖尿病の初期は症状がほとんどありません。何か心配なことがございましたら受診してください。
当日に糖尿病かどうかは診断できますし、糖尿病であっても相談しながら治療方針を決めていきますのでご安心ください。

Q.糖尿病の検査をしてもらいたいと思っています。朝食は摂らないで行ったほうがいいですか?

糖尿病の状態を見る検査は、空腹時でも食後でも判断することができます。
当院では、ほとんどの方が普段と同じように食事を摂って来院されています。
場合によっては朝食を食べないように指示することもありますので、お問合せください。

Q.糖尿病の診察は、検査も含めてどのくらい時間がかかりますか?

糖尿病の治療/診断に必要なHbA1c、血糖値は10分もかからず結果がでます。
しかし初回の場合は問診に時間がかかることがあり、時間の余裕をもって来院していただくようにお願いしています。
※時間がない場合は、お伝えいただければ対応しますので相談してください。
2回目以降はスムーズに診療が進むと思います。

Q.糖尿病かどうかは、当日わかるのでしょうか?

ほとんどの場合は当日の検査で分かります。
しかし場合によっては追加の検査で診断するときもあります。

Q.インスリン注射をはじめると、一生続けなければ行けないのでしょうか?

そんなことはありません。2型糖尿病・その他の糖尿病の方は、やめることもできます。
当院に通院されている患者さんは、「インスリンをいったん使ったけれど、やめることができた」という方がたくさんいらっしゃいます。
院長はできるだけインスリンを使わない治療を心がけています。というのもインスリンをたくさん使えば太るからです。
そうすると「インスリンは使ったらダメだ」となるかもしれませんが、そうではありません。糖尿病というのは「自分の膵臓から出てくるインスリン」が足りないために発症する病気です。膵臓が”頑張って頑張って”インスリンを絞り出すように作っていて、それでも足りなくなってしまっているのです。もう”へとへと”な状態です。そんな時、外からインスリンを補充(インスリン注射をする)してあげると、体は”ホッ”として休むことができ、しばらく休めば自分でインスリンを出せるようになり、インスリン注射をやめることもできるのです。

Q.産婦人科で「妊娠糖尿病」と診断されました。妊婦ですが、通院してもいいのでしょうか?

妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠の場合は血糖値が悪いと生まれてくる赤ちゃんに影響がでることがあります。
専門的な医療機器を用いて診療することが必要になるケースも多々あります。
当院では糖尿病専門医による最先端の診療をおこなっていますので、ご安心してお問合せください。