糖尿病の症例3
糖尿病の症例3
近くのクリニックから血糖コントロールが悪いと紹介された87歳女性の方です。この方は何十年も前に糖尿病と診断されており、診断されて1年後に内服薬が開始となりました。
今までにインスリンの使用歴もなく一時的に治療中断歴もありましたが現在は内服薬で治療中でありました。
私の外来を受診され検査してみると血糖値367mg/dl、HbA1c14.2%で、またご自身からのインスリン分泌はある程度保たれておりました。
この方の血糖コントロールが悪くなる大きな問題点として認知機能の低下(後に認知症と診断されました)があげられ、周囲の方の協力が糖尿病治療には必要でありました。しかし近くに住む娘様もお仕事が忙しく、朝もしくは寝る前にはお薬を飲んだかの確認はできるものの、毎日は難しいというような環境でありました。
娘様の生活もありますので皆が幸せになるような治療を考えインスリン分泌が保たれていたことが幸運でありましたが1週間に1回の製剤を使用することにしました。
この頻度であれば娘様も休みの日に、本人様に皮下注射をすることができるとのでした。ただし1週間に1回の製剤はインスリン分泌能がないと効果が期待しにくく(使い方によっては効果があることもあります)、食事摂取量が落ちることがありフレイル(やせて活動が低下すること、虚弱)やサルコペニア(筋力が低下すること)の原因になる場合があるため注意しながら使用しました。
周囲の環境にも恵まれたため本人様の血糖値は改善していきましたが、おやつなどの間食をめぐって、本人様と娘様がけんかすることが目立つようになってきました。
娘様は良好な血糖コントロールを目指してほしい、本人様は食事や間食なども楽しみながら人生を過ごしたいという思いがあったからだと思います。
良好な血糖コントロールを目指すことが糖尿病の合併症進行を防ぐうえで大切なことは理解されているものと思いますが、この良好な血糖コントロールというところが、最近になって変わってきております。
これは日本糖尿病学会と日本老年医学会が合同で高齢者糖尿病の血糖コントロール目標を出しており、ただ単純に7%未満(合併症を防ぐための目標値として有名)を目指すということではなくなってきております。この目標値が出てきた背景には重症低血糖の予防など色々なものがありますが、これに従うとこの方のHbA1c目標値は8%未満であります。このことを娘様と本人様にお伝えし、本人様のHbA1cは8.2%程度であったため、娘様もご理解され食事療法をめぐっての争いはおこなわずに済みました。
糖尿病の治療の中で最も大切な大前提が「患者様やご家族様が幸せになれるように」ということがあります。
血糖コントロールを良くしたいがために、ご家族が厳しく間食を注意したりし、患者様とご家族様とが不仲になることはあってはならないことだと思っております。
今回の症例も、適切な血糖コントロール目標値を設定し、それに応じて糖尿病治療を実践していけるよう、そして患者様、ご家族様が幸せにすごすことができるようにサポートしていくよう、外来診療にあたっております。
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